はじめてのおおまわり

〜「はじめてののりてつ」プレ企画〜


2012/03に予定されている鉄道旅行企画「はじめてののりてつ」。この旅行の準備をしながら、普通・快速列車での移動距離が994.6kmにものぼることに気づき、「果たしてそんな長時間、普通列車に乗っていられるものだろうか」という心配が首をもたげてきた。2日に分けるとはいえ、1日におよそ10時間くらいは普通・快速列車に乗っていることになる。

ここで思いついた。心配なら、本番前に体験しておこう。途中下車や観光は必要ない。列車に乗って、列車に乗って、列車に乗るという行為にあたしは耐えられるのか? 本番である「はじめてののりてつ」に先立って、長時間鉄道に乗るということを体験するため、2011/02/24に思いつき、2012/02/26に突発的に実施した、東京近郊区間における大回り乗車の旅の記録です。


本文

5:00 @埼玉県某所

起床。本日は2012/02/26、世間は日曜日である。通勤客の少ない日曜なら座るのも楽だろうし、逆に通勤客のじゃまにもならないだろう。本番の旅行はがっちり平日出発、平日帰着だけど。

ともかく、太陽の散歩を済ませてから出発。今回の旅のスタートとなる赤羽駅を目指すが、残念ながらあいにくの天気。雨こそ降っていないが、どんよりと暗い曇り空である。寒くないのが救いだが、あまり幸先はよろしくない。

7:30 @赤羽駅

赤羽駅に到着。駅前の写真を撮ろうとするが、これがなかなか難しい。予想以上に恥ずかしいのだ。駅の看板を撮るのに、ずいぶん距離をとってしまう。ここから慣れていくしかない。

この日最初に乗る予定の列車は、赤羽駅7:53発りんかい線直通快速新木場行き、744Fであった。だいぶ時間があるので、とりあえず立ち食いそば屋でかけそばを食う。本日最初の出費、お値段は\240であった。どういうサービスなのか、かけそばなのにわかめを入れてくれた。おばちゃんありがとう、必ずまた寄るよ。っていうか、毎月1回赤羽に来るたび、ここで天ぷらそばを食べてるんだけどね。

さて、そばをあっという間に食べ終わり、駅へ。今回はせっかくなのでSUICAを使わずに紙の切符を買うことにした。切符を買うという行為そのものがかなり久しぶりであることに気づく。JR以外の鉄道、あるいは路線バスではパスネットとバス共通カードを使っていたし、そのあと登場したPASMOはSUICAと相互利用ができたのだから、公共交通機関はもうずいぶん長いことキャッシュレスかつ切符レスで乗車していたわけだ。こんなこと、今回切符を買うまで考えたこともなかった。というわけで切符を購入。目的地は隣の川口駅、料金は\130である。

旅の準備は整ったが、予定の時間までまだだいぶ余裕がある。ここで予定を変更し、赤羽駅7:36分発の各駅停車新宿行き、618Kに乗って早々に新宿を目指すことにした。駅弁を買うために時間的余裕を増やしておこうという魂胆である。そんなわけで7番線へ。けっこう人がいる。205系電車はすぐにやってきたが、人のいるホームで入線してくる電車の写真を撮るというのはなかなか勇気のいる行為だということに気づく。駅の外観も撮れないような小心者にはハードルの高いミッションである。これは……がんばらないと、本番の旅行で列車の写真を撮れずに涙を飲むことになるかもしれない。そんなことを考えつつ車内へ。

新宿へは15分ほどの乗車時間である。車内はそこそこ人がいる。日曜の朝だっていうのに、こんなに人が多いもんかしら。退屈した目が見つけたのは東京近郊の路線図。武蔵野線の吉川と新三郷の間に「吉川美南」という駅がある。こんな駅知らんぞと思ってよく見たら、今度のダイヤ改正で開業する予定の新駅らしい。へええ、あの辺は開発が進んでるんだなあ、と思って、路線ネットワークを撮影。ここでフラッシュがオートに設定されていることに気づき、慌ててフラッシュなしに設定しなおす。ほどなく新宿駅に到着した。

7:50 @新宿駅

日曜の朝だというのに、なんだか混雑しているという印象。以前、新宿が職場だった頃とは違った感じがして、ちょっとétrangerの気分を味わう。が、その直後にアナウンスが耳に入ってくる。

「本日は東京マラソンのため、中央西口が大変混雑しており……」

うは、忘れてた。東京マラソンは今日だったのか……。スタートは確か、都庁前。そりゃ人が多いわけだ。この時間に人がうろうろしてるってことは、スタートはおそらく9:00頃なんだろう。あたしはその頃八王子につく予定である。

さて、まずは本日1つ目の駅弁を入手するため、南口コンコースあたりをうろつく。売店を覗くが、お目当ての田中屋の「復刻鳥めし」がない。実は事前の調べで5・6番線ホームに売店があるらしいとわかっていたのだが、遠そうだったのでまず近場から当たってみたのである。残念ながらこの作戦はうまくいかず、結局5・6番線ホームを目指すことになった。5・6番線ってなんだかえらい遠いな! いったん地下へ降りて、また登ることになるのか……。しかも5・6番線に着いてから売店までがまた遠い。この先に本当に売店があるのかしらと疑うくらい。

5番線にE259系成田エクスプレスが停まっていたので、とりあえず撮影。ついでに撮ったんだけど、これが今回の旅行で初めてまともに撮った列車の写真となった。さらに通りすがりの中央特快東京行を撮ってみる。走っている列車の撮影はやはり簡単ではないようだ。

さて、ようやく見つけた売店には先客が。3人組の男性客が何かを買っていて、けっこう待たされた。ビールを買っていたようだが、どうやら24本ほど買ったらしい。人数の多い旅行の幹事さんなのか、それとも酒豪揃いの3人なのか、夜の分まで買ったのか。いや、夜の分は重いから現地で買うだろうなあ。おっと、どうでもいい詮索をしている場合ではない。弁当を買って中央線快速のホームへ行かねばならぬのだ。といってもまだ時間は20分くらいある。ともかく、目的の「復刻鳥めし」とお茶を買う。鳥めしのお値段は\500と、駅弁の中ではかなり安い。お茶が\140で、合計\640の朝食である。え? 赤羽で食べたかけそば? あれは、その、おめざですよ。

中央線快速ホームへ行くと、ホリデー快速河口湖とやらが停まっていた。183系だか189系だかという、特急用車両で運行される快速列車のようだ。とりあえず撮影し、うろうろしているうちに発車してしまったが、特別料金なしで乗れるなら乗っておけばよかったと後悔。ちぇー。

そんなわけで、当初の予定通りの8:26発中央特快高尾行き、805Hを待つ。入線してくるときに撮影してみたが、目も当てられない結果に。やはりちゃんととろうと思うなら停まっているときに撮るか、それなりの装備でそれなりの撮り方をしないといけないんだろうなあ。

とりあえず805H、E233系に乗車。そこそこの乗車率であったが、中野で座ることに成功した。その後も新宿から離れるにつれて、徐々に乗客が減っていく。さて、中央特快の車内ではすることがない。車窓もまだ都内の雰囲気であるから、写真を撮るにも及ばない。そんなわけでただぼんやりと乗車。三鷹の発車ベルは「めだかの学校」だった。立川でジョイフルトレイン華という車両を見かけたが、写真は撮れなかった。

立川を出ると、3人がけの席があたし1人になったので、鳥めしの写真を撮ることに。まだ開けないけどね。ついでに今回お世話になる乗車券の写真も。

豊田の発車メロディは「たき火」だった。帰ってから調べたところ、「めだかの学校」の作曲者である中田喜直は三鷹に、「たき火」の作詞者である巽聖歌は豊田駅に近い日野市旭が丘に住んでいたので、地元ゆかりの芸術家の業績を称えるために、どちらも2010年から使われているそうだ。

豊田駅を出ると、そろそろ車窓も面白くなってくる。南に電車区が見えた。E233系がたくさん停まっていた。正確には電車区でなく、豊田車両センターと言うそうだ。それから、「西豊田駅早期実現を!」なんて書かれた看板が見えた。武蔵野線に新駅ができることを考えると、西豊田駅開業に足りないものは何なのかな、なんて思ったりもする。もちろん収益が見込めるかどうかというのが一番大きいんだろうけど。吉川美南駅周辺はどんなところなのかな。そんなことをぼんやりと思う。川を渡る。浅川という名前らしい。八王子駅が近づいてくると、架線のない線路がちらほら見える。貨物線でもあるのしら。

9:04 @八王子駅

八王子駅に9:04到着。中央特快は「夕焼け小焼け」の発車メロディに送られて高尾を目指して走り去った。この「夕焼け小焼け」も、八王子ゆかりの中村雨紅によって作詞された歌だそうだ。登場する風景は旧恩方村のものらしい。現在は八王子市上恩方町、下恩方町などになっているという。

ところで、感慨に浸っている場合ではない。次に乗る予定の八高線、9:08発川越線直通川越行き、969Eに急ぎ乗り換える。車両は埼京線と同じく205系だが、顔の印象はかなり違う。また、ドアは全自動開閉でなく、乗客がボタンで開閉する半自動タイプである。山手線出身の改造車だそうだ。

乗客はけっこう多く、席は全て埋まっていて、立っている人が5〜6人くらい。あたしもその5〜6人のうちの1人である。あ、弁当食べられないわ。

八王子を出ると、また川を渡る。さっき渡った浅川だ。北八王子駅を過ぎたところで、高速道路をくぐる。たぶん中央道だろう。このあたりは丘陵地らしく、やたらと坂の多い街に見える。小宮発車後、大きな川を渡る。多摩川らしい。拝島が近づくと坂は減ってくる。多少平地らしくなり、家が増えてくるが、畑も多い。拝島駅では立川で別れた青梅線の他、五日市線と西武拝島線に乗り換えができる。そのおかげか乗客が多少減り、座ることができた。駅周辺の雰囲気はわりと街らしい感じだ。

次は東福生。駅を過ぎたあたりに、謎の施設。教習所かと思ったら、American Forces Networkの文字が見えた。これって、昔のFEN……ああ、米軍基地があるのか。このときあたしは「八高線から米軍基地が見える」んだと思っていたのだが、帰ってから地図を見たところ、正しくは「八高線が横田基地を縦貫している」みたいだ。箱根ヶ崎駅の手前で航空機らしい音が聞こえたが、姿は見えなかった。箱根ヶ崎を出ると再び畑が多くなる。よく見ると畑じゃなくて、手付かずの荒地だったりする。雑木林も多い。もっと進むと茶畑が増えてくる。ここらで埼玉県に入ったのだろう。

金子を出ると、急に街が低いところに見える。教科書に出てきそうな扇状地っぽい地形だ。丘陵と低地の境目に川が流れていた。山に入り、再び抜けると今度はもっと大きな扇状地。たぶん飯能の街だ。東飯能駅に到着。お向かいにあるのは西武池袋線のホーム。トレッキングっぽい服装、装備の人がたくさんいた。秩父の方へ行くのだろう。このあたりも、窓外はだいぶ山っぽい感じだ。

9:49 @高麗川駅

高麗川着。時刻は9:49である。とりあえず、八王子の乗り換えでは時間がなくて行けなかったトイレへ。もっとも、ここから高崎まで乗車するキハ110系にはトイレが付いているはずだけど。跨線橋を渡って高崎方面ホームへ。今乗ってきた川越行き205系と、次に乗るキハ110系が並んで停まっていたので撮影。

2・3番線ホームへ降りる。さて、ここからはたぶん人生初の気動車体験である。さっそく先頭のキハ110-222を撮影。3番線に停まっているのは9:55発の八王子行き976Eだろう。

前の方の車両はやや混んでいたので、うしろへ。キハ110-218に乗る。真ん中の車両の番号は残念ながら見忘れた。座席配置はセミクロス、ボックスシート部分は4人がけと2人がけの3列になっていて、通路が広く取ってある。通勤通学時間帯に立ち乗り客をたくさん乗せるためかな。乗客は少ないが、4人がけのボックスシートを1〜2人で使っている感じだ。とはいえ、相席で弁当を食うのはちょっとためらわれる。そんなわけで携帯電話の電源を切り、優先席に座らせてもらってしばらく様子を見ることにする。ここから高崎までおよそ1時間半。高崎に着いたら次の鶏めしが待っている。「復刻鳥めし」の方は早く食べたいところなのだ。

キハ110-218には、ワンマン運転ができるように運賃箱が設置されていた。ワンマン車両に乗るのは御殿場線以来だなあ。あ、ドアはもちろん半自動タイプだ。高麗川までの205系と同様、ボタンで開閉できる。

10:11、発車。高麗川を後にする。このとき向かいに停まっていたのは、先ほどの八王子行きではなく、次の10:14発966Eだろう。

気動車独特の音を聞きながらの旅が始まった。最初の停車駅は毛呂。駅前に、なんだか温泉旅館みたいな大きい建物があった。何だろうと思っていたが、駅舎の柱に「埼玉医科大学」の文字があった。あれは大学か、大学病院の建物なのだろう。学生さんか患者さんかわからないけど、けっこうな人数が下車したため、4人がけのボックスシートへ移る。他に誰も座らなかったので、安心して弁当を食べることができる。ところで、八王子からの電車でも見かけた小学生2人組が同じ車両に乗っていて、どうも鉄道ファンっぽいなあと思いながら見ていたんだけど、毛呂駅の写真を撮っていた様子から察するに、やはり鉄道ファンなんだろう。あたしも写真を撮りたかったが、当面は弁当を優先することに。待ちに待った「復刻鳥めし」のお時間ですよ!

鶏そぼろと卵の二色ご飯、小なすの漬物、大根の桜漬、菜の花のおひたし……じゃなくて、からし和えか。あと、缶詰っぽいみかんが入っていた。これで\500ならかなりいいと思う。コンビニで\398の弁当を買った方が安いと思う人もいるかもしれないが、とんでもない。確かに値段は安いかもしれない。コンビニ弁当のご飯はふっくら感をアピールするためか、それともご飯の量を減らすためか、だいぶふんわりとした盛り付けになっている。対する駅弁は、持ち歩いても崩れにくいようにきっちり詰めてあるので、ボリュームは見た目よりもあるものだ。それに、駅弁は冷たくてもおいしく食べられるように考えられていると思う。もし新宿のコンビニで豚カルビ丼か何かのお弁当を買っていたら、今頃はとても食べられる温度じゃなくなっている。総合的に見て「復刻鳥めし」はコストパフォーマンスのいい弁当だと思うが、これでも高いと思う人はそもそも駅弁とは合わないのかもしれない。まあ、あたしも\1,000を超える幕の内弁当なんかは買う気になれないから、あまりえらそうなことは言えない。

弁当を食べている間に越生に到着。東武越生線が見えた。

次は明覚。まだ弁当を食うのに必死で、落ち着いて写真を撮ることができない。発車後、車内から無理やり駅名標を撮影。カメラの準備が遅れて、おかしな写真になってしまった。

ようやく弁当を食べ終わる。食事をしたせいか、車内が暑く感じられる。外は寒いのだろうな。向こうのホームには行先表示を変えている東武東上線10030系の姿が見えた。行先表示器は幕式だった。

小川町には5分ほど停車。このとき、案外車両の振動が激しいことに気づく。初めはうしろの席の鉄道少年達が落ち着かないせいかと思っていたが、違ったみたい。走っているとさほど気にならないんだけど……。

小川町の次は竹沢。駅前に道と家しかない。現在10:51で、まだあと1時間弱の乗車予定だ。次は折原。改札口の写真を撮ることに成功するが、簡易SUICA改札だった。SUICAも切符もない人は、改札横の待合室にある機械で乗車証明書を発行してもらって乗車するようだ。もっとも、詳しいことは家に帰ってから写真を拡大してわかったしだい。

このあたり、窓の外は郊外の山林だが、冬枯れの景色はのどかと言うより寂しい感じだ。竹や杉、ひばなどの青みが救いとなっている。窓の外はのどかでも、車内のあたしはメモを取ったり写真を撮ったりしてけっこう忙しい。メモを窓枠に置いて撮影してみたら、ちょうど荒川を渡るところだった。

11:00、寄居に到着。秩父鉄道が通っており、またさっき小川町で別れたばかりの東武東上線の終着駅でもある。停車時間は7分あったので、その気になれば多少写真も撮れただろうが、横着を決め込んで席から撮れるものだけを撮影。「山火事注意」とののぼりを見ると、遠くまで来たんだなと思わされる。この頃、ようやく太陽の光が差してきた。でもまだ雲は多い。

寄居を出ると、次は用土。この辺は土地がわりと平らで、畑が多い。家も多いが、失礼ながら車がないと生活は不便そうなところに見受けられた。松久も同じような感じか。

ようこそ児玉の地へ! 児玉はやや開けているようだ。次は丹荘。丹荘を出ると神流川を渡る。そのあと右へ大きくカーブ。さっきまで右の車窓に見えていた山が正面近くに見えるようになる。ん? これが赤城山か? 実はよく知らんのです。ちなみに神流川を渡ったあたりで群馬県に入っています。

やがて群馬藤岡の駅に到着。若者がたくさん乗ってきた。学校でもあるのか? と思ったが、窓の外には家がだいぶ増えてきているから、単に人口が多い地域に入ってきたのかもしれない。群馬藤岡の駅には自動改札機があった。乗降客数が多いためだろう。帰ってから調べたら、児玉や丹荘の3〜4倍くらいのようだ。高崎を中心とする生活圏に入ったのだろう。

上越新幹線の高架をくぐり、さらに高速道路をくぐる。どうやら上信越道らしい。北藤岡駅に到着。新しい家や、建築中の家が多い。これから高崎生活圏のベッドタウンとなっていくのだろうか。

北藤岡の駅を出るとすぐ、川を渡る。左を見ると二股に分かれている。というより、ここが2本の川の合流点なのだろう。調べによると烏川と鏑川で、合流後の烏川は利根川へ注いでいるらしい。次の倉賀野は、八高線ではなく、もう高崎線の駅である。

11:45、高崎駅に到着。他のお客さんが降りてから、キハ110系の車内を撮ってみた。こんな座席でしたよ。ついでに出入口も撮る。車内が一段高くなっているのがわかる。あとドア開閉用のボタンも一応写っている。

11:45 @高崎駅

そんなこんなで高崎である。何年ぶりだろう? 小学生の頃は1〜2ヶ月に1回くらい来ていた。高崎スズランってまだあるのかな? 今回の旅では途中下車ができないため、駅周辺の雰囲気を見ることはできない。っていうか、見たってもう覚えてないだろうけど。とりあえず駅名標を撮っておく。次の駅は高崎問屋町とある。あたしの知らない駅だ。帰ってから知ったが、2004年に開業した比較的新しい駅らしい。

さあ、とりあえずは弁当をかうことにしよう。今度は高崎弁当の「鶏めし」である。こちらの売店はすぐ見つかった。「鶏めし」とお茶を買い、トイレも済ましておく。それからあちこちのホームを覗いてみる。おお、懐かしい115系が停まっているではないか。小学生の頃乗ったのはたぶんこれだったよな……。横川行きだそうだ。たぶん12:22発の135Mというやつだろう。思わず乗っていきたい気になってしまうが、大回り乗車のルール「同じ路線、同じ駅を2度通らない」に抵触するので今回は見送り。青春18きっぷで行けばいいのだ。途中下車もできるし。

ノスタルジーに浸って115系を撮影していると、次に乗る予定の107系、12:06発両毛線小山行き451Mが入線してきた。これも撮る。

ひとしきり撮影し、満足して列車へ乗り込む。ちなみに107系もドアは半自動タイプだが、ボタン式ではなく手動である。車内はけっこう混んでいる。立つほどではないが、さっきと同じく弁当は食いづらい状況。そもそも107系は12人がけロングシートである。よほど空かないと弁当は広げにくい。トイレの周辺にだけ、変則的な2人がけの席が3つほどあり、そのうちの1つがクロス方向となっているようだ。ここなら食べやすそうだが、残念ながら先客がいた。その人もなにやら食事をしている様子。うらやましい……。12:06、高崎駅を発車。外を眺めるが、この車両は窓が汚く曇っていて、車窓の撮影は難しそうだ。

高崎問屋町到着。問屋らしい街並みは見えなかった。普通の住宅街っぽい。続いて井野に停車。こちらも同じような感じ。次の新前橋までが上越線の駅だ。新前橋で少し乗客が増え、数人が立つ状態に。発車後、大きな川を渡る。どうやら利根川らしい。南側に変わった橋が見えたが、車内が混んでいたため撮影は自粛した。どうやら前橋市の平成大橋という斜張橋らしい。

前橋で乗客は3分の1くらいに減った。もう少し様子を見て、お弁当タイムに持ち込めるか? 向かいの3番ホームには211系が入っていて、入れ違いに出て行った。ところで、両毛線の車内はやたらと暖房が効いている。外が寒いから強めなのかもしれないが、ずっと乗っていると上着を1枚脱ぎたくなるくらい暑い。

前橋を出たあたりで、一応車窓も撮影しておくことに。北側に見える赤城山。

前橋大島着。また少しずつ……駅前が……寂れてきました……。次は駒形。古い家の多いところという印象。1番線に115系高崎行き。駒形を出てすぐ小さい川。桃ノ木川というそうだ。山が近いせいか川が多い。田んぼと畑も多い。そしてその真ん中、あちこちにお墓がある。車窓南側に競技場のような変わった建物が見えた。伊勢崎オートレース場だ。伊勢崎着。車内から見た限り、古い蔵の多い街に見えた。古くは商業で栄えた街なのかもしれない。伊勢崎を出るとまた小さな川。粕川というらしい。本当に川をよく見かけるな。まあ、都市部ではちょっとした水路も暗渠になってしまっていて、川が珍しく見えるだけなのかもしれないけど。次は国定。国定忠治の国定だろう。北に大きく赤城山が見える。赤城の山も今宵限り……縄張りを捨て国を捨て、かわいい子分の手前達とも……って、あたしもよく知らないんですけどね。

3番線に107系高崎行き。けっこう本数多いのね。伊勢崎以降、車内はだいぶ空いてきた。ロングシートの3分の2は空いている。例の変則2人がけシートは、まだおじさんが陣取って本なんぞ読んでいる。国定を出て岩宿に着く。南側に大きい電機屋、パチンコ屋、ホームセンター、それから市場らしきものが見える。幹線道路が走っているのだろう。列車は桐生へ向かう。東武桐生線の線路をくぐったあと、北側から非電化の線路が1本近づいてきた。これがわたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線 だそうだ。また、南には操車場みたいなものもあった。高崎総合訓練センターだったのかな。正確なところはわからない。

そうこうするうち桐生に到着。時刻は12:53。桐生は田舎のちょっと大きい街、という感じ。発車メロディは、どこかで聞いた民謡っぽいものだったが、帰って調べたらあれが八木節だったのね。桐生を出たが、小山まではあと1時間くらいある。なんか107系よりもキハ110系の方が乗り心地がよかったような気がしてきた。続いて小俣着。向かいに115系。あー……せめて115系に乗っておけば、ボックスシートで楽な旅ができたかもしれない。次に両毛線に乗るときには必ず115系に乗ろうと心に決める。小俣の駅前は寂れた感じだが、両毛線の駅の寂れ方と八高線の駅の寂れ方は違う感じがする。古い街と、未開発地といった差があるように思う。ひょっとしたらあたし、この旅行記では失礼なことばかり書いているかもしれない。

話は変わって、車内がだいぶ空いてきたので席を移動し、無人となった12人がけロングシートを独占して、本日2回目のお弁当タイム開始。

こちらが高崎弁当の「鶏めし」である。新宿のとはそぼろのタイプが違う。ひき肉で作ったんじゃなく、煮た鶏肉を細かく刻んで炒りつけたような感じ。これはこれでおいしい。お値段は\800と高い分、鶏の照り焼き、同じく鶏肉をスライスしたもの、つくね、こんにゃく、栗、わさびと野沢菜の漬物、梅漬けと、おかずもあれこれ入っていて大満足である。ちなみに高崎弁当のサイトによると、スライスした鶏の照り焼きは「コールドチキン」だそうだ。

列車は山前、足利と進む。例によってお弁当タイム中は写真がない。山前は駅舎や待合所がいい味を出していた。足利は街の開発を進めているようで、建設中のマンションなんかもちらほら見える。都心へ通うにはちょっと遠いよなー。ひょっとして足利市駅から東武伊勢崎線を使えばわりと都内へのアクセスもいいのか? ……いや、それでも2時間〜2時間半くらいだろうな。足利駅で2番線の115系と行き違う。107系と115系、交互くらいの運用なのかな?

足利を出たあたりで食事は終わってしまったが、乗車時間はあと45分ほど残っている。ここいらは畑が多い。線路の北側に小さい山が見える。自然の中で生活できるという雰囲気は、比較的都会に住んでいるあたしにとっては魅力的に映らなくもないが、甘いものではないだろう。買い物だけでも大変そうだし。

富田駅手前、線路の南側に道の駅のような雰囲気の駐車場が見えた。帰って調べたら「あしかがフラワーパーク」だそうだ。去年、両親が遊びに来て、ブルーベリーの苗木を買ったところだ。そのときあたしは行かなかったが、こんな形で目にすることになるとは夢にも思わなかった。もっとも、目にしたときは「道の駅か?」と思っていたのだから、驚きは帰って地図を調べてからのことで、残念ながら感慨も薄い。富田の駅前は、古い街道っぽいたたずまいだった。両毛線に沿って東西に通る県道67号線は、「日光例幣使街道」という江戸時代からの街道だったそうだ。そういう雰囲気は長く残るものなのかもしれない。このあたりの蔵は大谷石でできたものが多いような感じだ。地図で見てみたら、小俣駅の手前から足利市。もう20分ほど前から栃木県なのだ。

佐野に到着。東武佐野線が来ているそうだ。岩船。駅の北側に、岩肌が剥き出しの山が見えた。土砂崩れでもあったような感じだ。この山は岩船山というそうで、去年の震災で何箇所か山崩れを起こしたとのこと。ちなみに戦隊ものなど、特撮の爆破シーンの撮影で有名なところだそうだ。

岩船の駅前には古い商店がわりと多い。いい雰囲気だ。岩船を出る。北側の山すそに集落が集中していて、それ以外の平地はほとんど畑になっている。大平下着。かつてはホームが2つあったようだ。現在は1つしか使われておらず、線路も撤去されているが、ホーム自体は残されている。

大谷石の蔵が多い。産地は宇都宮の方だから、距離はそれほど近くないように思うが、県内ではよく使われたのかな。いや、ひょっとしたら東武日光線経由で東京方面へ運ばれたんで、このあたりでもよく使われていたとか……? なんて、歴史的経緯とかはさっぱり知らないけれど、考えるだけでも楽しい。今度東武博物館に行ったら聞いてみようかな。わかる人がいないかも……。

13:39、栃木駅着。東武日光線と接続。乗り換え駅だからか、有名な学校でもあるのか、高校生がたくさん乗ってきて、長らく空いていた席は再びほとんど埋まった。開いたドアから入ってくる空気は、心なしか冷たい感じで、北関東にいるんだなあと実感。そりゃドアも手動開閉にする必要があるわな。まあ、暑いくらいの車内に1時間半も座っていたからそう感じるだけかもしれないけど。

思川。駅前ロータリーがかわいかったような気がする。このあたりまで来るとだいぶ地面が平らになってきている。思川駅を出て少し行ったところで、大きめの川を渡る。この川が思川という名前らしい。渡良瀬川の支流だそうだ。やがて東北新幹線の効果が見えてきて、13:51に小山到着。

13:51 @小山駅

1時間45分お世話になった107系に別れを告げ、6番線ホームへ降りる。向かいの8番線には211系、高崎行き456Mが停まっていた。

ここで選択肢は2つ。14:05発の湘南新宿ライン快速逗子行き4150Yで大宮へ行くか、14:09発の水戸線勝田行き753Mで友部へ行くかである。湘南新宿ラインに乗ったら大宮から京浜東北線へ乗り換えて川口を目指し、15:15には旅が終わる。余談だが、湘南新宿ラインはさいたま新都心駅と浦和駅を通過するので、大宮で乗り換えないと次の停車駅は赤羽となり、大回り乗車失敗という結果になる。水戸線で友部を目指すと、友部から常磐線で柏へ、柏から常磐線各駅停車で新松戸へ、新松戸から武蔵野線で南浦和へ、そして南浦和から京浜東北線で川口にだいたい17:30過ぎに着く旅程となる。川口駅で快速あいづライナー1号の指定席券と青春18きっぷを買う予定なので、今回はまっすぐ大宮を目指すことにする。

ところで、降りたホームに立ち食いそば屋を発見。乗換えまでは……もう少しあるな。よし、かけそばを食おう!

自分でもどんだけそば好きなんだよと思いつつ、かけそば1杯\250を食べる。このお店は麺の替え玉を出してくれるらしい。駅の立ち食いそばで替え玉なんて、あたしは初めて見た。

そばを食い終えると、乗り換えにはぎりぎりの時間。ちょっと走って、どうにか14:05発の湘南新宿ライン逗子行きに乗る。E231系である。最後尾の車両で、ボックスシートがあった。空のボックスはなかったが、4人がけに1人で口を開けて寝ている男性がいたので、対角線にあたる席に座らせてもらうことにした。

快速で飛ばしているからか、やたら早く感じる。そしてこれだけ飛ばしていても横揺れが少ない。しかし、逆に細かい上下の振動が著しい。E231系の特徴なのかな。シートは固めで、座り心地が悪いと言う人も多いようだが、あたしは気にならなかった。

宇都宮線を南下する。両毛線沿線ほどではないが、古河だの久喜だのはまだまだ郊外感がぬぐえない。古河と久喜の間で利根川を渡る。みたび埼玉県に入ったのだ。東鷲宮あたりはだいぶ「家ばかり」という印象になる。が、久喜を過ぎ、白岡あたりに来るとまた畑が目立つ。蓮田を過ぎて大宮が近づくと、だいぶ見慣れた景色になってきた。

14:44 @大宮駅

乗ってきたE231系の尻を撮影し、京浜東北線ホームへ。ゆっくり乗り換えたので、14:45発の快速大船行きは出てしまったが、次の快速磯子行き、1421Aは14:55発だ。列車の本数が多いのも都心に近づいたことを物語っている。入線してくる磯子行きを撮影してみたが、やっぱり向かってくる列車はとても撮影できん。本番では、座れないことも覚悟して撮影しないといけないかもしれない。

京浜東北線に乗ってしまえば、あとは見慣れた風景である。川口駅着は15:15。有人改札を通り、今日の大回り乗車の記念に切符をもらい、旅は終了となった。

改札を出たあと、本番に向けて快速「あいづライナー」1号の指定席券と、青春18きっぷを購入。すでに急行「きたぐに」用の乗車券、急行券、寝台券は買ってあるので、これで切符の準備は整ったことになる。

今回の大回り乗車まとめ 〜うちに帰ってから〜

いやー、大回り乗車は初めての体験だったけど、楽しかった。子供の頃は鉄道が好きで、いつか鉄道で旅をしてみたいと思っていたけれど、その頃の情熱は三十路を過ぎてとうの昔にさめてしまったと思っていた。が、あにはからんや、である。実際に鉄道に乗ってみると、もうそれだけで楽しくなってしまう。普段、必要があって鉄道やバスで移動するときも、たいてい寝てしまうあたしが、今回の旅行では眠気も感じずにメモを取りつづけであった。

今回の乗車コースは以下のようになりました。

赤羽−新宿−八王子−高麗川−高崎−小山−大宮−川口と、6回の乗り換え。総乗車距離300.3km、実乗車時間6時間52分、赤羽−川口間の所要時間は7時間39分でした。

八高線の非電化区間、好きだなー。また乗りたいし、次は下車してみたい。キハ110系もいいね。気動車の力行時の音は、やっぱり力強さを感じさせてくれる。ひょっとして、特急用気動車だともっと力強いのかな……? いつか乗ってみたいものだ。

両毛線107系は、トイレ前の変則シートを確保できれば楽に旅ができるかも。まあ、窓外を食い入るように眺めたり、写真を撮ったりせず、乗っているだけならばロングシートでも何の問題もないだろうと思う。でも、どうせなら115系に乗れるプランを考えればよかったかと、そればかりは悔やまれてならない。あと107系の窓がもう少しきれいだったらなあと思った。

もし次回があるなら、もっと長い距離に挑戦するよ!

ところで、今回浮き彫りになった問題点。恐ろしいまでの記録癖で、メモを取るのに必死で昼寝する暇もなかった。本番で同じことをやったら2日目つらいだろうなあ……。「きたぐに」の中ではちゃんと寝ないと。

今回の出費は、赤羽で食ったかけそば\240、新宿で買った鳥めし\500、同じくお茶\140、高崎で買った鶏めし\800、お茶\120、小山で食ったかけそば\250、そして乗車券は\130円。合計\2,180でした。低価格で楽しめる旅だったと思う。っていうか、そば食いすぎだろ自分。


ついでにおまけ。というかおみやげ。

高崎の「鶏めし」です。実は家でも食べるつもりで、もう1つ買ってあったのよね。

そんなわけで、今回の旅の本当の出費は合計\2,980でした。てへ。